動物実験に関する指針

(1)目的
 本指針は「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」(最終改正平成25年8月30日 環境省告示第84号)、「動物の愛護及び管理に関する法律」(最終改正平成26年5月30日 環境省)、「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(平成18年6月1日 文部科学省告示第71号)、「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」(日本学術会議 2006年6月1日)、「遺伝子組み換え生物等の使用等による生物の多様性の確保に関する法律」(最終改正平成27年9月18日法律第70号)、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(最終改正平成26年11月21日 厚生労働省)、「麻薬及び向精神薬取締法」(最終改正平成27年6月26日 厚生労働省)、「動物の殺処分方法に関する指針」(最終改正平成19年11月12日 環境省告示第105号)等に示されている事項の他、遵守すべき基本的事項を定め、日本法医学会会員(以下、会員という)が動物実験の計画及び実施に際し、科学的、倫理的観点から適正な動物実験を実施することを目的とする。

(2)適用範囲
 本指針は法医学に関する研究において会員によって行われるすべての動物実験に適用される。

(3)実験計画の立案
 動物実験計画の立案に当たってはその研究目的の達成に必要な最小限の実験にとどめ、適切な動物の選択及び適切な飼育環境のもとに実験が実施されるよう実験方法については十分に配慮し実験計画を立案しなければならない。

(4)実験動物の取扱い
 実験動物の取扱いに当たっては実験動物の生理、生態、習性、並びに飼育、管理方法等に関する知識を十分に持たなければならない。

(5)実験実施上の配慮
 実験の実施に当たっては動物愛護の立場から実験動物に適切な保定、鎮痛、麻酔等を施し、不安や苦痛を極力軽減するように務めなければならない。特に死因解明のための実験や法医学における動物実験の性質上、麻酔が用いられない実験を行う場合には予め会員の所属する各研究機関の動物実験に関する委員会等の意見を聞いた上、倫理的な観点から動物に与える苦痛を最小限にする配慮が必要である。さらに死後、実験動物の放置が必要な場合には死体の放置条件や場所の配慮に務める必要がある。

(6)実験終了後の処置
 実験終了後の動物は速やかに必要な処置を施し、苦痛から解放するように務めなければならない。また動物を処分する場合には速やかに安楽死させなければならない。

(7)安全管理上の配慮
 物理学、化学的、生物学的に注意を要する試料または病原体を用いた動物実験及び遺伝子操作を含む実験を実施する場合には、一般留意事項、関係規則等を遵守して安全の確保及び環境汚染の防止のために十分な処置を講じなければならない。

(8)その他
 本指針に示されていない事項で必要と考えられる事項については会員が所属する各研究機関における動物実験に関する諸規定及び「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(平成18年6月1日 文部科学省告示第71号)を遵守するものとする。

付記

  • 1996年4月1日本法医学会第81回評議員会承認
  • 最終改訂2016年6月15日