理事長挨拶

日本法医学会理事長:青木 康博 2017年6月に岐阜で開催された日本法医学会の会議において、池田典昭前理事長の後任として選任され、同年7月1日より2019年6月30日まで2年間日本法医学会理事長を務めることになりました。微力非才の身ではありますが、重責を担いました上は微力ながら、各理事および学会員の協力を得て、学会活動の振興を通じた社会貢献を果たしたいと存じます。学会活動の柱として前期理事会は、(1)日本型の死因究明制度の確立、(2)若手法医学者の育成、(3)法医実務の精度向上、(4)学会活動の社会への還元、(5)法医実務への国民の理解と協力の獲得、の5項目を掲げており、今期理事会も基本的にこれを踏襲するものであります。特に法医実務の充実は、法医学界に対する社会の負託に応えるものである一方、後進の育成とともに、学としての法医学を支えるバック・ボーンでもあります。したがって今期理事会においてもこれらを主要活動方針として様々な事業を展開したいと考えます。また、日本法医学会は昨年設立100周年の記念事業を行い、また来年度は法人化10周年を迎えます。この節目に当たる時期に学会の組織・システムの点検・整備を行い、将来の発展にむけた効果的な体制の構築を目指します。

一方、2014年6月に「死因究明等推進計画」が閣議決定され、各都道府県に死因究明等推進協議会が設置されつつあります。しかし同年に失効した「死因究明等の推進に関する法律」の後継法であるべき「死因究明等推進基本法案」は、現在のところ成立の日の目を見ておらず、そのため各県の推進協議会の活動は停滞し、行政の対応はむしろ後退している面すら窺えます。「死因究明等推進計画」にあるとおり、十分に死因が究明された上で、死亡診断書・死体検案書が交付されることは、生命の尊重と個人の尊厳の保持につながるものであり、また公衆衛生の向上に資するものであって、国民が安心、安全に暮らせる社会の基礎になるものと確信しています。そのため今後も関係省庁などの政府機関に対する働きかけを継続し、また国民からの理解を得て、法の成立および社会基盤の確立に向けて努力して行きたいと考えております。

会員の皆様には法医学会へのご支援・ご協力をお願いしますとともに、学会外の皆様には忌憚のないご意見を頂ければ幸甚に存じます。

特定非営利活動法人
日本法医学会
理事長 青木 康博