理事長挨拶

日本法医学会理事長就任のごあいさつ

日本法医学会理事長:近藤 稔和

 このたび、神田芳郎先生の後任として、日本法医学会理事長を拝命いたしました和歌山県立医科大学法医学教室の近藤稔和でございます。
 はじめに、会員の皆さまのご信任に心より御礼申し上げますとともに、そのご期待の大きさに、身の引き締まる思いでおります。
 現代社会において法医学は、犯罪捜査はもとより、少子高齢化社会における死因究明や、社会的弱者への支援といった分野においても、その重要性がますます高まっております。一方で、研究活動の停滞、若手人材の育成体制の不十分さ、鑑定精度の向上、他分野との連携の課題など、乗り越えるべき多くの課題も抱えております。これらの課題に真摯に向き合い、日本法医学会のさらなる発展に寄与すべく、以下の6つの重点項目に取り組んでまいります。

  1. 研究の活性化
    法医学が基礎医学・臨床医学を問わず幅広い領域と関係する学際的分野であることを改めて認識し、会員の皆さまのリサーチマインドの醸成に努めます。学術集会や他学会との積極的な交流を通じて、法医学研究の活性化を図ってまいります。
  2. 法医鑑定精度の向上
    全国で一貫した高精度の法医鑑定を提供できる体制の構築を目指し、鑑定の標準化や資料保存に関するガイドラインの整備に取り組んでまいります。
  3. 若手人材の育成
    世代を超えた自由な意見交換と交流ができる場を設け、次代を担う法医学者の育成を力強く支援してまいります。
  4. 関係学会との連携強化
    日本法中毒学会、日本DNA多型学会、日本法医病理学会といった密接に関連する学会はもとより、法医学と実務的・学術的に関係性のある他学会とも積極的に連携を深めてまいります。
  5. 国際化の促進
    IAFS、IALM、INPALMSといった関連国際学会との連携を強化し、共同研究や情報交換を推進します。また、英文機関紙「Legal Medicine」をより高いインパクトファクターを有する国際ジャーナルへと成長させることで、日本法医学会の国際的プレゼンス向上に努めてまいります。
  6. 多職種連携と男女共同参画の推進
    性別や職種にかかわらず、すべての会員が能力を最大限に発揮できる環境整備を進め、多様性と公平性を重視した学会運営を目指してまいります。

 これらの取り組みを通じて、個人の基本的人権の擁護、社会の安全と福祉の維持という日本法医学会の使命を果たしてまいる所存です。
 結びに、会員の皆さまの一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆さまと共に、法医学の未来を築いていけることを心より願っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和7年7月1日

特定非営利活動法人
日本法医学会
理事長 近藤 稔和