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C.灯油・ガソリン
(1)ガスクロマトグラフィー・質量分析法(GC/MS)

 i)操作法

試料1) 1 ml (g)
↓ ガラスバイアルに入れる.
ガラスバイアル2)
↓ i) 冷水 1 ml を加えて栓をする.
ii) アルミキャップでシールする
3).
iii) 2,3 分ごとに攪拌しながら 60 ℃で 20 分間加温する
4).
気相 1 ml
↓ 注入する5).
GC/MS

 【注 解】
1) 血液など予め冷却しておく.
2) シリコンゴムセプタム・アルミキャップ付き容量 15 ml.
3) 専用のクリンパーを用いる.
4) アルミブロックヒーターや水浴などで加温する.
5) 予め 60℃に加温したガスタイトシリンジを用いる.

 ii)GC/MSの条件


装置: ガスクロマトグラフ/質量分析計
カラム: DB-5, 30 m×0.32 mm i.d. 1) ,膜厚 0.25 μm
温度: カラム 40 ℃ (2 min)-20 ℃/min-220 ℃ (7 min),
注入部 200 ℃,導入部・イオン源 250 ℃
キャリアガス: ヘリウム 30 ml/min (全流量)
注入法: スプリット,スプリット比 10:1
イオン化: EI 70 eV
測 定3): スキャン 質量範囲 m/z 40-200 あるいは SIM, 時間 0-18 min


 【注 解】
1) 0.25 mm i.d のナローボアカラムでも分析可能である.
2) 灯油・ガソリンに含まれる主な揮発性炭化水素類の本法による保持時間および選択イオンを表1に示す.
3) 検出される揮発性炭化水素類の種類によって死者の生前における暴露環境の推定がある程度可能となる.特に,灯油が関与した火災の場合にはトルエン,エチルベンゼン,キシレンに加えて灯油に特徴的な脂肪族炭化水素(C 8 -C 12 )が検出される.
4) 定量が必要な場合は toluene-d 8 を内部標準物質として,本マニュアル p.85-86 の GC/MS によるトルエンの分析法に準拠して行う.

 表1 主な灯油・ガソリン成分の保持時間とフラグメントイオン

保持時間(分) フラグメントイオン(m/z)

芳香族炭化水素
Benzene 1.45 78
Toluene 2.59 92
Ethylbenzene 4.15 106 91
p-Xylene 4.29 106 91
Styrene 4.47 104 78
Propylbenzene 5.29 120 105 91
3-Ethyltoluene 6.00 120 105 91
Trimethylbenzene 6.15 120 105 91
脂肪族炭化水素
n-Hexane(C6) 1.31 86 57
n-Heptane(C7) 1.67 71 57
n-Octane(C8) 3.07 85 57
n-Nonane(C9) 4.85 85 57
n-Decane(C10) 6.67 71 57
n-Undecane(C11) 8.45 71 57
n-Dodecane(C12) 10.04 71 57


 【文 献】
1. Morinaga M et al. Int J Legal Med 1996;109:75-79.
2. Morinaga M et al. Z Rechtsmed 1990;103:567-572.
3. Morinaga M. J Mass Spectrom Soc Jpn 2003;51:201-204.

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