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C.アルキルジピリジリウム塩系農薬
(1)分光光度法

 i)前処理

試 料1)
↓ i) 2N NaOH液でpHを約11に調整する2).
ii) カートリッジにアプライする.
Sep-Pak C18 カートリッジ3),4)(オリジナル,Waters)
↓ i) 水3 ml,メタノール3 ml,水5 mlで順次カートリッジを洗浄する.
ii) 0.1N HCl4 mlで溶出する.
溶出液
↓ i) 水を加えて全量を正確に5.0 mlにする.
ii) 発色試薬
5) 0.5 mlを加える.
呈色液6)
↓ セルに入れる.
分光光度計7-10)

 【注 解】
1) 試料は体液,体組織.体液(1 mlまたはg)はVortexミキサーで撹拌しながら10%トリクロロ酢酸液1 mlを加え除蛋白する.臓器・組織(1 g)は10%トリクロロ酢酸液5 mlを加えてホモジナイズする.除蛋白液を3,000 rpm,10分間遠心分離後,上清を分取する.沈殿部分は10%トリクロロ酢酸液 各1 mlで2回洗浄する (撹拌・遠心・分取).上清液と洗浄液を合わす.
2) アルカリ性にした後,直ちにSep-Pak C18カートリッジに注入する.パラコート,ジクワットはアルカリ性で分解する.特にジクワットは著しい.
3) Sep-Pak C18カートリッジに流すときの流速は5 ml/min以下で行い,カートリッジに空気が入らないように注意する.空気が入ると回収率が低下する.
4) Sep-Pak C18カートリッジは各5 mlの水,メタノール,0.1 N HCl,水を順次流し充填剤を予め活性化しておく.
5) 発色試薬:1 %ハイドロサルファイトナトリウム/1 N NaOH溶液.発色試薬は用時調整し,2時間以内に使用する.
6) 呈色はやや不安定で退色する傾向があるため,発色後すみやかに測定する.
7) 水5 mlに発色試薬0.5 mlを加えた液を対照として用いる.
8) 得られた吸光度を次式により補正する.
    パラコートの吸光度補正式:Ep = E600 - (E550 + E650) / 2
      E550,E600,E650:550,600,650nmにおける吸光度実測値
    ジクワットの吸光度補正式:Ed = E430 - 0.3 x Ep
      E430:430 nmにおける吸光度実測値
   検量線よりパラコートおよびジクワットのイオン量(μg)を求める.
9) 検量線はパラコートおよびジクワット標準液を適宜希釈して得た所定濃度液5 mlに発色試薬0.5 mlを加えて発色させ,補正値より検量線を作成する.
10) 検出限界はパラコートで約0.5 μg/ml,ジクワットで約3 μg/mlである.

 【文 献】
1. 福家 他.中毒研究 1992;5:387-393.
2. パラコート含有除草剤−中毒症状と処置法−,PQ協議会,1995.

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