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B.カルバメート系農薬
(3)ガスクロマトグラフィー・質量分析法(GC/MS)

 i)前処理

(1)ガスクロマトグラフィーまたは(2)高速液体クロマトグラフィーの項の前処理と同様の方法で抽出し,抽出残渣をアセトン100 µlに溶解し,その1 μlをGC/MSに注入する.

 ii)GC/MSの条件


装置:
カラム:
温度:

注入法:
キャリアガス:
イオン化:
測定:
ガスクロマトグラフ/質量分析計
DB-1,15 m×0.25 mm i.d.,膜厚 0.25 μm
カラム 50℃(2 min)-(20℃/min)-300℃(4 min);
注入部 200℃; 導入部・イオン源 280℃
パルスドスプリットレス 圧 70 psi(0.3 min)
ヘリウム 2 ml/min
EI(電子衝撃) 70 eV
質量範囲 m/z 40-550; 時間 18.5 min


 【注 解】
1) カルバメート系農薬は熱安定性に乏しく,GC/MSの注入部で分解されるので,注入法を工夫する必要がある.本分析条件では注入部での分解は防げない.

 表1.代表的なカルバメート系農薬とその分解物の保持時間および主なイオン

化  合  物 保持時間(分) 検出下限(ng) 主なイオン(m/z)

 Metocarb(MTMC) 6.71 5 108,77,58
 Isoprocarb(MIPC) 7.21 1 121,136,91
 Methomyl 7.24 10 58,105,88
 XMC 7.32 5 122,107,77
 Xlyycarb(MPMC) 7.51 5 122,107,77
 Propoxur(PHC) 7.60 1 110,152,81
 Fenobucarb(BPMC) 7.63 1 121,150,91
 Carbaryl(NAC) 9.05 5 144,115,89
 Methomyl 分解物 3.76 58,88,105
 2-Cresol(MTMC 分解物) 3.88 108,107,79
 2-Isopropoxyphenol(PHC 分解物) 4.70 110,152,81
 3,5-Xylenol(XMC 分解物) 4.72 107,122,77
 3,4-Xylenol(MPMC 分解物) 4.90 107,122,77
 2-Isopropylphenol(MIPC 分解物) 4.99 121,136,91
 2-sec-Butylphenol(BPMC 分解物) 5.58 121,77,91
 1-Naphthol(NAC 分解物) 7.02 115,144,89


 【注 解】
1) メチルカルバメート系農薬はm/z 58のフラグメントイオンが出現する.また,高濃度では分子イオンが観察される.
2) 検量線(検出下限から100 ngまで)は二次関数様曲線になる.

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