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B.シアン化水素(青酸)
(3)ガスクロマトグラフィー ・質量分析法(GC/MS)

 i)前処理

試料1)0.4 ml
↓ 0.5M Na2SO3液 0.1 mlおよび10% 冷トリクロル酢酸2) 0.4 mlと混和する.
混合液
↓ 振盪後,遠心分離する.
上清
↓ 下記混合液に加える3).
混合液4)
↓ vortexで1分間混和し,55℃で30分間加温後,1,400 gで15分間遠心する.
上清
↓ 1 μをl注入する.
GC/MS

 【注 解】
1) 試料は血液、尿など.冷凍保存しておくことが望ましい.青酸の揮散を防ぐため,冷試料を用いる.
2) 氷冷しておく.
3) チオシアン酸塩を分析するときは,ここからスタートし,上清の代わりに全血0.2 mlを加える
4) 予め,5 mM TDMBA (tetradecyldimethylbenzylammonium chloride)/oxygen-free 水* 溶液 0.8 ml,10 µM 1,3,5-tribromobenzene (IS)/酢酸エチル溶液 2 mlおよび20 mM PFBBr (pentafluorobenzyl bromide)/酢酸エチル溶液 0.5 mlを入れておく.
 *蒸留水を15分間窒素ガスでバブリングする.

 ii)GCの条件


装置:
カラム:
温度:

キャリアーガス:
イオン化:
ガスクロマトグラフ/質量分析計
DB-225,30 m×0.32 mm i.d., 膜厚0.25 μm
カラム 80℃(3 min)-(10℃/min)-200℃; 注入部 200℃;
セパレータ:200℃ ; イオン源:220℃
ヘリウム 2 ml/min
EI(電子衝撃) 70 eV


 【注 解】
1) 誘導体化により生成するpentafluorobenzyl cyanideのフラグメントイオンはm/z 207 (M+, base peak), 188などである.内部標準物質はm/z 314 (M+ + 2, base peak), 235 (M+ + 2 – Br)など、チオシアン酸塩の誘導体はm/z239 (M+), 181 (base peak)などである.
2) 本法の検出限界はシアン化物 0.01 μmol/ml,チオシアン酸塩 0.003 μmol/ml,定量範囲はシアン化物 0.02 – 1.0 μmol/ml,チオシアン酸塩 0.01 – 1.0 μmol/mlである.

 【文 献】
1. Kage S et al.J Chromatogr B. 1996;33:27-32.

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