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A.一酸化炭素(CO)
(3)ガスクロマトグラフィー(GC)1)

 i)操作法

1) 5 mlの注射器2)(CO解離用)に採血針3)を刺入する(図A).
2) 血液(水で5倍希釈)あるいは体腔液約 1 gを注射筒に滴下し,重量を精秤する.
3) ガラス球を1個4),4%トリトンX-100(溶血剤)を3滴,n-オクタノール(消泡剤)3滴を加える.
4) 塩化リチウム飽和液を塗布したプランジャーを挿入し,空気を追い出す.
5) 注射器を逆にし(図B),注射針をGC用セプタム取り付け位置まで抜いた後,プランジャーを押して完全に脱気する.
6) GCのキャリヤーガス排出口に接続したゴム管に注射針を刺入し,ヘリウム約1 mlを吸入後,採血針を抜き取り,注射器を5分間振盪5).
7) 塩化リチウム飽和液で気密にし,ヘリウムで置換した1 mlの注射器6)に5 mlの注射器の気相を取り,GCに注入する(腐敗によるメタンガスがないことを確認)7).
8) 5 mlの注射器に再度採血針を取り付け,新たにヘリウムガス0.5 mlを吸入した後,採血針を抜き取り,マイクロシリンジで内部標準ガスとしてメタンガス20 μl8)を加える.
9) 20% フェリシアン化カリウム液(解離剤)0.3 ml9)を添加する.
10) 5分間振盪し,ヘリウムで置換した1 mlの注射器6)で気相を採取し,GCに注入する.

 【注 解】
1) 本法は図1のように,注射器内で血液にフェリシアン化カリウムを加えて反応させ,解離した CO を注射器で採取し,GC で分析する.
2) 予め注射針取付部にユニチューブで GC 用セプタムを取り付けておく.
3) テルモ社のマルチプル採血針 MN-2238M, 22G x 11/2”(1.5”)(0.70 x 38 mm).
4) 直径約 0.7 cm のガラス球を使用.
5) イワキ KM-Shaker V-S 振盪盤などを使用.
6) 注射針を取り付け,GC 用セプタムから5 mlの注射筒に刺入する.
7) 腐敗した試料ではメタンが検出されるが,メタンの妨害がなくなるまでヘリウム洗浄を2~3回繰り返す.
8) CO-Hb が 3%以下の時は 2 μl を加える.100 μl または10 μl のマイクロシリンジ を使用.
9) 0.5 ml のツベルクリン用注射器とマント針(ミサワ工業製)を使用.
10) 注射器は全てガラス製で,ディスポは不適.また,セプタムは10検体程度で交換する.
11) CO-Hb 飽和度の算出:次の計算式によって算出する.

CO-Hb (%) = 100 x V/ (Hb x 4 x 22.4 x 1,000/64,458)

  V:試料中のCO量(ml/100g,標準状態)
  Hb:試料中の総Hb量(g/100g)
  64,458:ヘモグロビンの分子量
12) 総ヘモグロビンの測定は,和光純薬製の総ヘモグロビン測定用キット (シアンメトヘモグロビン法)を用いる.

図1 COの解離に使用する装置
   (図A) (図B)  

ii)GCの条件


装置: ガスクロマトグラフ
検出器: TCD(熱伝導度検出器)
カラム1): Molecular Sieve 5A (60-80 mesh),2.1 m ×3 mm i.d.
温度: カラム 100℃;注入部 110℃;検出器 100℃
キャリアガス: ヘリウム 0.6 kg/cm2,(約 24 ml/min)


 【注 解】
1) 使用前に 250℃で12時間以上エージングしておく.
2) 酸素,窒素,メタン(内部標準物質)およびCOの保持時間はそれぞれ1.1分,1.6分,2.5分および4.2分である.

 【文 献】
1. 小島 亨 他.日法医誌 1981;35:305-311

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