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A.一酸化炭素(CO)
(1) 分光光度法1)

 i)操作法

試料(血液) 20-30 μl2)
↓ 0.1% Na2CO3液3) 8 mlを加え,希釈する4).
血液希釈液(5 ml)
↓ i) ハイドロサルファイトナトリウム(Na2S2O3)約10 mgを加えて溶かす5).
ii) 1N NaOH溶液 0.5 mlを加え
6),ゆっくり混和する.
混合液
↓ 直ちに分光光度計セルに入れ,500 nmから600 nmの吸収スペクトルを測定する.
530 nm付近および560 nm付近の最大吸光度を求める.
↓
CO-Hb飽和度7)の計算
計算式:COHb(%) = (A530 × 2 - A560)/A530 ×100
 A530:530 nm付近の最大吸光度 ; A560:560 nm付近の最大吸光度
 【注 解】
1) 分光光度法には種々の測定法が報告されているが,ここでは換算式から求める方法を用いた.この方法は100% 飽和 CO-Hb 血液や検量線作成が不要で,多少精度は劣るが簡便であり,焼死判定のルーチンには適している.ただし,10% 以下は不正確である.
2) 体液が入っているような胸腔液,腹腔液や腐敗した血液などは,一般に分光光度法は不適当である.凝固血液では,その 2 g に対して生理食塩水 8 ml を加え,テフロンホモジナイザーで緩やかにホモジナイズしたものを分析に供する.ただし,流動血に比べるとその値の信頼性は劣る.
3) 使用前に溶液を脱気しておくと良い.
4) 530 nm の吸光度が 0.3~0.4 になるようにする.
5) 青みを帯びた色に変色する.試薬が古くなると還元力が落ちるので,刺激臭の強い古い試薬は使用しないこと.
6) 赤みを帯びた色に戻る.
7) 大都市における非喫煙者の正常血中 CO-Hb濃度は1%以下であるが,1日15本以上の喫煙者では3-5%に増大する.

 【文 献】
1. 福井巳芳 他.裁判化学.東京:広川書店,1971

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